のおとのノート

若者の”勇気ある一歩”を見まもる「のおと」主宰者のそこはかとない書き散らかしです。

橘家

2012年9月

先週末は女子生徒が芸大のAO入試を受けました。
日中は外に居たのですが気が気ではありませんでした。

金曜日、最後の面接練習をしました。
昨年の12月に転向してきた穏やかでおとなしい子です。
当初は自分を客観的に見つめることがまったく出来ず、
長所を考えようとしたら
過去の出来事が原因で涙が止まらなくなるなど
心が自己肯定を激しく
拒否してしまうような子でした。

それから8ヶ月。たくさん話してきました。お茶飲みながら。

面接練習では嫌でも自分のことを話さなければなりません。
まだ自分を認めることは苦手だし、他人から聞いた「自分の長所」

納得はできないけど、その現状を明確に言葉にすることが出来るました。

そして、自分の想いをアウトプットすることが苦手な現状を変えるため、
「芸術」という表現ツールを使っていきたい、だから自分が学ぶ学問は
芸術以外に考えられないんだ、と噛み締めるように話しました。
その姿に僕は感慨を覚えました。
うん、なんかジーンとしてしまったんです。

「芸術とは人間の、或いは己の根源を見つめる学問」
だとするならば
彼女はそのスタートラインに立っていることは間違いありません。

「表現」とは、自分の想いや内面を何らかのツールを使って
アウトプットする行為。
ある人は文章を書いて、またある人は楽器演奏で、写真で・・・。
僕の特異な表現はしゃべり、生徒の得意な表現は絵。
アウトプットしたものをさらに自分が客観的に眺めて
自分というものを確認する。
自分を把握すれば生きることが少し楽になるのではないかと思います。

入試は2日間のワークショップと最後に面接。
「実力以上のものは出せないんだから開き直ってやっておいで」
と送り出しました。
正直そんな簡単に結果が出るわけないのは本人も承知の上です。
どうか本人が良かれ悪しかれ納得のいく2日間になるようにと
ただ祈るばかりでした。

週が開けて今日登校したので話を聞いたら大失態はなかったとのこと(笑)
しっかり自分を見つめることが出来る表現者になってほしいなぁ。